【ネタバレ】天国へのカウントダウンを徹底解説解説&考察(小ネタあり) / 劇場版名探偵コナン

\この記事は盛大なネタバレを含みます/
映画の画像
©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996.

『劇場版名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の解説&考察記事です。

この映画はとにかく伏線が凄い!!!ということで、緻密に練られたストーリーと設定、映画公開時の原作との関係性などをザザッと書いてみました。是非みていってください!

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シリーズ 5作目
公開年度 2001年
監督 こだま兼嗣
脚本家 古内一成
主題歌 倉木麻衣
「always」
キャッチコピー 「脱出不可能!危険な罠の時間を止めろ!!」
オリジナルキャラ
  • 常盤美緒 (社長)
  • 沢口ちなみ (秘書)
  • 原佳明 (プログラマー)
  • 風間英彦 (建築家)
  • 如月峰水 (日本画家)
  • 大木岩松 (市議会議員)
  • 塚本元 (警備のおじさん)
ゲスト声優 なし
新登場キャラ なし
英語タイトル Case Closed:
Countdown to heaven




映画の舞台

『天国へのカウントダウン』の舞台は架空の都市『西多摩市』です。

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位置的には現実の西多摩・奥多摩あたりでしょうか

実はこの『西多摩市が舞台になっている』という事実が既にミステリーの要素になっています
というのも、今作の容疑者である風間(建築家)は『時計じかけの摩天楼』の犯人 森谷帝二の弟子なんですね。

森谷は権威のある有名建築家でした。きっと彼に憧れる人間も多かったと思われます。そんな森谷と西多摩市は深い関係があるため(詳しくは『時計じかけの摩天楼』をチェック)、『森谷の関係者が森谷関連の事件を西多摩市で起こしている』と劇中で推理することもできるのです。

ミステリーとはあらゆる可能性を考え、数多の選択肢を排除していくのがセオリーです。『天国へのカウントダウン』では容疑者の風間英彦(建築家)を疑わしくする要素として、『西多摩市』がとても上手に使われています。

組織とコンピューターソフト

『天国へのカウントダウン』で絶対に外せないのが『黒の組織とコンピューターソフトの関係』の。

実は黒の組織は『全世界の有能なコンピュータープログラマーのリスト』を大金で購入している(原作12巻)他、有名なプログラマーである板倉卓に禁断のゲームソフトを開発させている(原作38巻)のです。

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©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996.
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コレは初期設定から続く『名探偵コナン』の重要な伏線です!
青山先生が『覚えておいてほしい伏線』として紹介しているので要チェック!

その上で映画序盤の歩美・光彦・元太のセリフを思い出してください。

「ねぇ、TOKIWAって何の会社なの?」
「中心はパソコンソフトですが、コンピューター関連の仕事なら何でもやってるみたいです」
「じゃあテレビゲームもあるんだな。楽しみだぜ!」

原作12巻で黒の組織(テキーラ)が潜入していたのは『満天堂(任天堂がモデル?)の新作ゲーム披露会』でした。
また、原作38巻で板倉が開発させられたのもゲームソフトです。

さらに映画序盤では常盤美緒(TOKIWA社長)の「プログラマーとしては天才的なんですが」という発言、原の「今新しいゲームソフトを考えてるんだけど」という発言の直後にジンとウォッカがTOKIWA社に登場します。

「どうして組織の奴らがこのビルに?」とコナンは訝しみますが、原作の読者(視聴者)は既にこの段階で『原=コンピューターゲーム開発の天才的プログラマーで黒の組織の関係者』と推理をすることができるわけです!

ちなみに映画公開当時は原作30巻〜31巻が発刊されていた頃のため、板倉卓はまだ登場していません。……が、原作12巻の『黒の組織が有能なプログラマーを集めている』という情報は当時はとても重要な伏線だったため(今でも回収されてないけど)、公開当時から『巨大IT企業のTOKIWA』、『天才プログラマーの原』、『突然現れた黒の組織』の関係性をコナンより先に観客が見破ることができる脚本なのです。

ツインタワービルについて

続いて架空の建物『西多摩ツインタワービル』の設定を紹介します。
これが分かっていると「ジンの戦略がすごいこと」、「大袈裟でもなく本当に絶体絶命だったこと」がより分かりやすいと思います。

まずは爆破事件が起きる前のビルについて。

平常時のビル

ツインタワービルの画像

舞台となったA棟は全階層オフィスビルで、4階〜30階までを他社に貸し出しており、31階〜75階をTOKIWA社が使っています。(※40階のコンピュータールームにはTOKIWAの心臓とも呼べるメインコンピューターがある)

VIP専用エレベーター(展望エレベーター)は『行きたい階まで直通』なので、エレベーターに乗ってしまえば基本的に目的地に到着するまで止まりません。……が、66階のコンサートホールのみVIP専用エレベーターを止めることができます。(66階にいる人物のみ稼働中のエレベーターに乗り込むことができる)

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停電後、赤ちゃんを連れた女性が乗り込んできたのも66階でした。彼女はVIP用エレベーターの仕組みを知っていたのかもしれませんね!

一方、隣のB棟は商業施設(お店)と宿泊施設(ホテル)の混合施設で、最上階には屋内プールが設置されています。リッチですね〜!ぜひ遊びに行きたい。

A棟
・地下4階:電気室/発電室
・地下1階:中央監視室
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・1階:フロント&ロビー
・2階:ショールーム
・3階:ショールーム
・40階:コンピュータールーム
・45階:連絡橋
・60階:連絡橋
・66階:コンサートホール
(↑VIP用エレベーターを止めることが可能)
・75階:パーティ会場
B棟
・67階:スイートルーム
(↑大木議員が宿泊)
・68階:常盤美緒の自宅
・69階:屋内プール

ちなみにパーティ前日の晩(灰原が学校で探偵団に救われた日の晩)、4人組の男が忍び込んで爆弾を仕掛けたのが『電気室(地下4階)』『発電室(地下4階)』『連絡橋(60階)』『ヘリポート(屋上)』です。『パーティ会場』と『コンピュータールーム』に関してはいつ仕掛けられたのか断定できませんが、とりあえず黒の組織に仕掛けられました。

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爆弾設置役3人+運転手1人の4人組でしたね。悪い顔してましたわ

停電後のビル

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薄い赤色の部分が『映画終了時点での炎の到達位置』です。

まず火災は40階で発生しました。
そのため通報を受けた消防隊員がB棟45階から連絡橋を渡り、40階に降りて初期消火に務めます。……が、炎の勢いは止まらず45階まで到達。

その後炎はエレベーターの昇降路を伝って45階から70階まで一気に上昇&爆発。70階のフロアも炎に包まれました。

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初期消火にあたっていた消防士が心配ですが、彼らは階段を使えばいつでも地上に戻れたハズなので多分大丈夫です




ジンの計画

ジンは当初『40階にあるコンピュータールームだけ』、『もしくは40階のコンピュータールームと75階のパーティ会場だけ』を攻撃するつもりだったはずです。
これに関しては劇中コナンのセリフにある通りと考えて良いと思います。

「この爆破の規模と周到な計画性…まさか爆弾を仕掛けたのは黒ずくめの男達なんじゃ……だとしたらコンピューター室を爆破した理由も大体想像できるけど、なぜ電気室まで
「クソッ……最後にパーティ会場を爆破して、誰を狙ったか分からなくさせるのが狙いか!!」

そもそもジンが40階のコンピュータールームを爆破したのは『盗まれた組織の情報を消すため』です。

原が盗んだ組織の情報は原のパソコンとTOKIWAのコンピューターに保管されていたため、原を射殺&原宅のデータを消去した後、ツインタワービルを爆破しました。

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つまり原さんのパソコンのデータを削除した犯人はジンです

ところがパーティ2日の夜、『シェリーがツインタワービルのオープンパーティに出る』と分かったためジンは急遽計画を変更。
『シェリーを確実に殺すため』に(1)電気室と(2)発電機室、(3)60階の連絡橋、(4)ヘリポートにも爆弾を追加したのです。

電気室と発電機室を爆破した理由

ジンが『電気室』と『発電機室』を爆破したのは『ビル内部を停電にしてシェリーを炙り出すため』です。要は罠ですね。

火災と停電のダブルセットにより、パーティ参加者の退路はかなり絞られました。
彼らが地上への避難するための道は以下3つ。

(1)60階の連絡橋でB棟に避難
(2)45階の連絡橋でB棟に避難
(3)VIP専用のエレベーターで地上に避難

そのためジンとウォッカは二手に分かれ、2つのエリアでシェリーが現れるのを待つことにしました。
ウォッカは(1)B棟の60階で連絡橋を監視し、ジンが(3)VIP専用のエレベーターを監視。シェリーが現れたら自分たちの手で殺す計画でした。

連絡橋を爆破した理由

『上記(1)、(3)どちらの避難ルートにもシェリーが現れなかったから』です。

(1)と(3)は正攻法の避難ルートでした。しかしシェリーはそれを使わない。
つまり『1人でビルの中に残ったのだろう』と考えたジンは、ツインタワービルの中に残ったシェリーを確実に殺すため全ての避難ルートを潰したのです。
(ちなみに展望エレベーターはジンの狙撃により緊急停止して、結果的に炎で燃えました。そのためエレベーターに関してはこれといって何か手を打つ必要がなく、爆発していないのです)

ヘリポートを爆破した理由

言わずもがな、『ヘリで脱出させないため』です。

シェリーが警察などの救助ヘリで脱出した場合さすがのジンも手を出せません。彼女が地上ではなく空から脱出するのを防ぐため、ジンはヘリポートを爆破しました。ついでにガソリンも用意していたのでヘリポートは大炎上。全く使い物にならなくなりました。

パーティ会場を爆破した理由

『シェリーを確実に殺すため』&『証拠隠滅のため』です。殺意がすごい。

シェリーが『ヘリポートの火が消えるまで最上階の75階で待機する可能性』も考えて、ジンはパーティ会場に大量の爆弾を仕込みました。これによりツインタワービルからの脱出ルートは完全に途絶えます。普通なら100%死ぬ最悪のシチュエーションです。

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コナンのぶっとび脱出劇がなければ本当にみんな死んでました

ジンは『シェリーがどう動くか』を徹底的に先読みし、どう足掻いても死ぬ絶望的な状況にするため戦略的に爆弾を設置。順番やタイミングまでしっかり練って次々に爆破していったのです。

キャラ描写が凄い

『天国へのカウントダウン』は主人公のコナンだけではなく、最近では雑に扱われがちな少年探偵団、阿笠博士、警察関係者などにも見せ場がたっぷり用意されています。そのくせ物語が破綻せず綺麗に進行しているのが本当にすごい。

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目暮警部が自発的に殿(しんがり)を務めるところ、大好きです。1人で泣いていた哀ちゃんを追い掛けそうになったコナンに「そっとしておいてやろう」と言った博士も大好き

新一の「待ってて」とは

映画の中で蘭が言った、「新一が待っててって言ったから。新一を生きて待たなくちゃいけないから」というのは原作26巻の名シーンが元になっています。

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©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996.

新一が突然去っていくことに深く傷付いていた蘭は、自分に黙って消えた新一の言葉を「聞きたくない」と泣きながら拒否します。けれどコナンが真剣な顔で「それでも蘭に待っててほしいんだ」と工藤新一の言葉を伝えたことで、蘭は新一を待ち続けると決めるのです。

ちなみに蘭ちゃんには『新一を待ってくれる女の子』というブレない初期設定があります。
青山先生いわく「現実には絶対いないだろっていうような、『主人公の帰りをずっと待っていてくれて、それでいて強くて可愛い女の子』が蘭」。
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個人的にこの『文化祭〜展望レストランでの事件』もコナン神回!

灰原の孤独

最近のコナンしか知らない人にはピンと来ないかもしれませんが、灰原が少年探偵団(特に歩美)に心を許すまでには様々なエピソードがありました。
『天国へのカウントダウン』はまさにその過程の作品ですね。

あたしは誰で、あたしの居場所はどこにあるんだろうって。あたしには籍がないのよ
「ええー!灰原さん席がないって」
「何言ってんだよ灰原」
「灰原さんの席はちゃんとそこにあるじゃないですか」
「私はここ!」「僕はここです!」「ここは俺だ!」
「……な?1人じゃねぇって言ったろ?

この『籍がない』は戸籍のこと。
『灰原哀=戸籍すらない偽物の人間』と解釈することもできるし、『宮野志保=戸籍がない空虚な存在』と解釈することもできるシーンです。
(原作設定で宮野志保に戸籍がないのかは不明)

灰原と蘭

映画内で灰原と蘭は全然仲良くありません。というか、灰原が蘭を避けています。

このときの灰原の心情は、ちょうど映画公開年の4月には発売された原作31巻が参考になると思います。

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©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996.

「相手はイルカ…そう…海の人気者…」
「暗く冷たい海の底から逃げて来た意地の悪いサメなんかじゃとても歯が立たないでしょうね…」

イルカ=蘭、サメ=灰原です。

灰原は生まれた瞬間から犯罪組織にいて、自分の意思に関係なく犯罪に手を染めさせられていました。みんなと同じように学校にも行けず、友達も作れず、常に組織に監視されながら仕事をさせられる人生だったのです。
そして人生の中で本当にたった1人だけ、絶対的な味方だった姉も殺されてしまった。

犯罪に手を染めているから『ただの可哀想な被害者』ではないし、でも犯罪をしたくてしていたわけじゃない。そんな18歳の女の子が宮野志保こと灰原哀なんですね。

一方、蘭は灰原とは真逆の人生を歩んできました。
両親に愛され、親友とも呼べる幼馴染(園子)がいて、好きな男(新一)だけでなく大勢の人から無条件で愛されている。『いつだって他人に優しく笑顔満点で、誰からも愛される人気者の毛利蘭』は灰原が絶対に手に入れられなかった人生そのもの。この世に生まれた瞬間から犯罪組織にいた灰原には、『蘭の清く正しい姿』はあまりにも眩しすぎました。

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ちなみに蘭を避けていた灰原が『とある蘭の言葉』を聞いて蘭に歩み寄るシーンが同じ巻で描かれています。これもとても良いので原作31巻もおすすめです!

伏線が凄いぞ!

『天国へのカウントダウン』はとにかく伏線&伏線回収の量がすごいのですが、それについてサッと書いていきます。

伏線たち一覧
・富士山とビルの位置描写
・元太とご飯粒
・灰原の電話
・ウォッカの電話
・風間の電話
・灰原の観ていた映画
・30秒当てゲーム
・光彦と歩美の恋愛相談
・舞台が西多摩市
・原さんの職業
・園子の『10年後の姿』と灰原とシェリー
・大木議員のセリフ
・コナンと風間の会話
・如月峰水の動き
・如月峰水の杖の音
・ジンとウォッカの動き

富士山とビルの描写

『天国へのカウントダウン』は映画開始直後、なんと00:01秒から伏線が貼られています。それが巨大な富士山とツインタワービルです。

歩美たち探偵団が「わあ〜!富士山!」と富士山を話題に出したあと、ツインタワービルに視点が移り「明日行きたい」という話になる。その間も背景には富士山とツインタワービルがデカデカと映っていました。

これは架空の『西多摩市』の地理を観客に説明すると同時に、「富士山とビルに何かあるんだな」と推理させることもできるとても綺麗な演出ですね!

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ちなみに富士山はオープニング映像(「俺の名前は工藤新一」のやつ)にもしっかり描かれているんです。DVDを持っている人、有料動画配信サイトの会員の方はぜひ探してみてください

また、『富士山とツインタワービルの地理関係』は
(1)前述の 映画冒頭 に加えて、
(2)あさひ野駅前での光彦の背景
(3)風間のマンションの窓から見える景色
(4)如月の家
(5)ツインタワービル内での「B棟から富士山は見えない」というシーン
──などから分かります。

コナンの推理ショーでは(2)光彦の背景 のみが紹介されていましたが、観客が真実に辿り着くチャンスはちゃんと複数回用意されていました

元太とご飯粒

これは有名な伏線ですね!
冒頭のキャンプで元太が言っていた「米粒1つでも残すな」というセリフが終盤で活きる演出です。(笑)

灰原の電話

劇中、灰原は頻繁にどこかへ電話しています。中盤まで電話の相手は分かりません。

今作のオープニングで灰原は『黒の組織の人間だった』と紹介され、博士からも「ワシはあの子を信じとる。だが黒ずくめの男たちへの恐怖が彼女を組織に寝返らせた可能性がないとも言えん」と言われています。

もちろんコナンも観客も「灰原は寝返ったりしない」というのはよくよく分かっていますが、『灰原の電話シーンとウォッカの電話シーンが重なる』という綺麗な演出(ミスリード)のおかげで作品全体の緊張感を高める効果があるわけです。

ちなみにジンは「所詮女は女か」と灰原の電話の意味を見事に見抜きます。灰原と一緒にいるコナンや博士よりも素早く見抜いたのがいかにもジンっぽくて良いですね。(公式設定上、ジンは組織の中でかなりモテます笑)

ウォッカの電話

映画冒頭のウォッカの電話シーン。重要な部分がトラックの通過音で隠れてしまいます。

「分かりましたぜ兄貴。西多摩市のツインタワービル…………(トラックの音)。あそこは確か天国に一番近いって」
「そいつはいい。あの世に最も近い…処刑台にしてやろうじゃねぇか」

この電話のシーンの直前を覚えていますか?「明日、西多摩市のツインタワービルに行くことになったわ。彼も一緒に」とコソコソ電話をする灰原が映っているんです。

本当は灰原とウォッカの間には何の関係もないのに、観客には話が繋がっているように見える。この演出が本当に上手い…!

ちなみに映画冒頭のウォッカの電話の全容は以下の通り。

「分かりましたぜ兄貴。西多摩市のツインタワービルからハッキングされています。やはり原の仕業ですね」

映画最大のミスリードであると同時に綺麗な伏線でした。




風間の電話

建築家の風間英彦は単身赴任中の父親です。
彼は夜中の作業中、「息子の声が聞きたくて電話をかけてしまう」と笑っていました。「寝ていることも承知で、どうせ声を聞くことなんてできないのに電話しちゃうんだよね。親バカだろ?」ということです。

これは『灰原の電話の正体』を読み取る重要な伏線です。
「たとえ相手の声を聞けなくても相手が恋しくて電話をかけてしまう」という風間の話を聞いていたからこそ、コナン&観客は「もしかしたら灰原は死んだ姉に電話をしているのでは」という推理ができるのです。

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これもコナンより先に観客が正解に辿り着ける構成になっていますね!

30秒当てゲーム

映画の中で『30秒当てゲーム』は3回登場します。

(1)キャンプの帰りの車の中
(2)パーティ会場
(3)ツインタワービルからの脱出
──の3回。

(1)キャンプの帰り、(2)パーティ会場の『30秒当てゲーム』は当然ラストシーン(3)に向けた伏線ですが、歩美たちはただ30秒当てゲームをしていたわけではありません。(1)で成功し、(2)で失敗しているのです。
この『成功と失敗の描写』こそがとても大事で、「歩美が30秒を正確に測れるのはコナンへの恋心があるから」という映画のオチを描く綺麗な伏線になっているのです。

また、(2)パーティ会場の30秒当てゲームで『元太・光彦・歩美の腕時計を回収していること』、『如月が時計を持っていないこと』が観客に明かされることもとても重要ですね。
これらの描写により「無事に脱出するには歩美ちゃんに頼るしかない」という危機的状況が突飛なご都合展開にならないわけです。本当に脚本が上手い……

さらに、この(2)パーティ会場の30秒当てゲームでは『赤子連れの女性』が部屋を出ていくシーンも描かれています。観客にバレないようそっと出ていくのではなく、かといって不自然に消えるのでもなく。「赤ちゃんが泣いたから周りの迷惑にならないようパーティ会場を離れる」というごく自然な演出がされていました。
おまけに「赤ちゃんの泣き声があったから小五郎が1位を取れた」というギャグ要素が込められていることで、観客の頭には「小五郎のそばで泣いた赤ちゃんがいて、母親が会場を離れた」ことがしっかり刻まれます。

この演出があるからこそ、『展望エレベーター66階で突然赤子連れの女性が現れて少年探偵団が降車した』という場面が不自然に見えないのです。また、探偵団の自発的な優しさで物語が動いているため『目暮警部など警察関係者、毛利・阿笠博士など保護者がポンコツなせいで子供達が危険な目に遭っている』という近年のコナン映画にありがちなネガティブ要素を排除できています。

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もっとも、エレベーターを降りる子供たちを引き止めなかった他の女性陣は個人的にどうかと思いますけどね(笑)




園子の髪型

劇中で園子の髪型が変わりますが、これは映画序盤の『10年後の姿を当てるシステム』で出てきた自分が(元太と光彦に)不評だったことがそもそもの発端です。
あのシーンで園子は不貞腐れながら辺りを眺めていました。そしてちょうど目の前を通った灰原を見て、「私もウェーブかけよっかな」とイメチェンを考えます。

こうした背景があって、園子はパーティに合わせて髪型をチェンジ。この園子のイメチェンが『ジンの狙撃』に繋がり、『蘭とコナンの命懸けの脱出』に繋がるわけですね。

光彦と歩美の恋愛相談

映画序盤の光彦と歩美の恋愛相談。
「かわいいな〜!」と癒されるシーンですが、実は伏線になっています。

まず歩美ちゃん。
蘭に対して「コナンくんが好き」とストレートに言い切ったことで、原作を知らない観客にも「この女の子はコナンが好きなのか」と確実に分かります。
その上で(1)序盤の車内での照れ顔、(2)パーティ会場で30秒当てゲームをするときにコナンを探す姿が描かれていることで『コナンに恋するピュアな吉田歩美』の輪郭がハッキリとし、ラストシーンの「コナンくんがそばにいてくれたら出来る」「コナンくんのそばにいるとドキドキする」というシーンに繋がるのです。

そして光彦くん。
「歩美ちゃんも好きだけど灰原さんも好き」という言葉が最初にあったからこそ、ラストの「離しませんよ、絶対に!」の言葉に重みが増します。この『光彦の恋愛相談』という伏線があったからこそ、円谷光彦という1人の少年が最終シーンでより魅力的に描かれる。最高。

大木議員のセリフ

映画序盤、ツインタワービル75階で「週末ホテルに泊めさせてくれ」と大木議員が常盤美緒に言います。そして「では67階のスイートをご用意します」と美緒が返事。

日本画家の如月峰水はこの会話を聞いていたからこそ第一の殺人事件に成功したわけです。

コナンと風間の会話

パーティ1週間前の土曜日、少年探偵団と共に風間宅に訪れた光彦は「大木議員と揉め事はなかったか」と風間に訊ねます。風間は「大木さんとはなかった」と答えましたが……

設計の段階で何か大木さんと揉めたことはありませんか?」
「うーん。大木さんとは何もなかったなあ……」
「じゃあ他の人とは揉めたの?」
「え?」

このシーンは『西多摩ツインタワービルの設計段階で誰かと揉めた』ことを表しています。
つまり『ツインタワービルの存在そのものに否定的な人物がいた』ということ。

犯人を見抜くかなり重要な伏線ですね!

如月峰水の動き

如月は映画の中で不自然な動きを繰り返しています。
それはコナンも指摘していたように「アトリエで富士山の絵を描いているのに、筆を走らせている最中ですら部屋のカーテンが閉められていて被写体の富士山が全く見えない」ことに加えて、「ツインタワービルのパーティ会場から富士山を見ていた蘭&園子のそばで、如月が意味深な様子で富士山に背を向ける」ことなど。

これらの描写が如月の犯行動機を推理する伏線になっています。

物理計算式の話

コナンファンの間では有名な話ですが、ラストの物理計算式は青山剛昌先生のお兄さんが担当しておられます。(青山先生のお兄さんは科学者です)

ツインタワービルA棟75階からB棟69階までの直線距離は60m、落下距離が20m。
20m落下するのに2秒かかるため、時速108kmで移動しないとB棟に辿り着く前に墜落してしまう。しかしパーティ会場は狭く、車があっても時速108kmまで加速できない。

──という計算ですね。

ちなみに爆風を用いた場合の計算はされていないので(笑)、そこは突っ込んじゃダメです。




映画の時系列を解説

最後に『天国へのカウントダウン』の時系列も紹介します。

映画開始後

1日目(土曜〜水曜日)
朝〜昼 少年探偵団+博士がキャンプに行く。その道中、富士山とツインタワービルが話題に出る。
夕方 毎年恒例『博士のクイズ』開催。
灰原の電話を元太が目撃する。
TOKIWAツインタワービル40階のコンピュータールームから組織のコンピューターが攻撃されていたことが判明。組織を裏切った原佳明の処刑が決まる。
2日目(日曜〜木曜日)
博士の車の中で『30秒当てゲーム』が開催される。
ツインタワービルで蘭・園子・小五郎と合流。
ビルの中でツインタワービルとTOKIWAの説明を受ける。
(このとき、ツインタワービルのホテルに泊めるよう大木議員が常盤美緒に要求)
ジンとウォッカがTOKIWAに偵察に来る。
(ハッキング元のメインコンピューターを破壊するための下見?)
3日目(月曜〜金曜日)
蘭が光彦、歩美から恋愛相談を受ける。
夕方 蘭が新一に電話をする。
3日目?(金曜日)
大木議員がツインタワービルのホテルに宿泊。その日の晩に殺害される。
4〜8日目(土曜日)
朝〜昼 大木議員について事情聴取を受ける
13:45頃 米花駅前に歩美・光彦・元太(+コナン)が集合。
14:25頃 歩美・光彦・元太(+コナン)が『あさひ野』駅に到着。
駅前マンションで暮らす風見宅へ出向く。
午後〜夕方まで ジンにより原が射殺される。
17時過ぎ
〜17:55
コナンたちが『あさひ野』の丘にある如月邸に出向く。
如月が原の自宅を訪れ、遺体のそばにお猪口を置いて去る。
灰原がどこかに電話している姿を阿笠が確認。
5〜9日目(日曜日)
灰原の電話について阿笠がコナンに報告&相談。
コナン・歩美・元太・光彦・灰原の5人で原の自宅へ向かい、原の遺体を発見。コナンたちは第一発見者として目暮達から事情聴取を受ける。
目暮&白鳥が探偵事務所を訪れ、原殺害事件について小五郎に説明をする。
9〜13日目(木曜日)
ジンとウォッカが宮野明美のアパートに侵入し、留守番電話を盗聴する。
灰原の電話をコナンが止める。
10〜14日目(金曜日)
帝丹小学校で灰原がコナンに謝罪。探偵団と会話をする。
組織の人間(4人組)がツインタワービルに侵入し、地下1階の中央監視室を制圧。
『電気室(地下4階)』『発電室(地下4階)』『コンピュータールーム(40階)』『連絡橋(60階)』『パーティ会場(75階)』『ヘリポート(屋上)』に爆弾を設置する。
11〜15日目(土曜日)
朝〜昼 園子が髪型を変える。
夕方 みんなで探偵事務所の前に集まり、小五郎の運転でツインタワービルへ向かう。
ツインタワービルのオープン記念パーティ開始
常盤美緒が殺害され、ビル内各地が爆破される。

映画開始前

約7年前
TOKIWA社 社長秘書・沢口の父親が過労死する
3年前
日本画家の如月峰水が『あさひ野』の丘に自宅兼アトリエを建設する。
1年前
工藤新一の活躍により、西多摩市の市長だった岡本氏の犯罪が暴かれる。これにより建築家・森谷帝二の関わる『西多摩ニュータウン計画』が白紙になった。
3年〜数ヶ月
西多摩ツインタワービルを建築するため、大木議員により西多摩市の条例が改正される。
???前(時空の歪み)
森谷帝二が連続爆破事件等を起こす。
数ヶ月〜数日前
西多摩市にツインタワービルが完成する。
原佳明が組織のコンピューターをハッキング。組織の情報を盗み出した。




Posted by HAGA