【名探偵コナン】純黒の悪夢の特徴、制作秘話など
純黒の悪夢とは
2016年に公開された、コナン映画の記念すべき20作目。
シリーズ | 20作目 |
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公開年度 | 2016年 |
監督 | 静野孔文 |
脚本家 | 櫻井武晴(原案) |
主題歌 | B’z 「世界はあなたの色になる」 |
キャッチコピー | 「ダブルフェイスはここまでだ」 |
オリジナルキャラ |
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ゲスト声優 |
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新登場 | 風見裕也 |
興行収入 | 63億円 |
英語タイトル | Case Closed:The Darkest Nightmare |
あらすじ
ある日、警察庁の一室に侵入者が発生。
世界中の国家機関が黒の組織に送り込んでいるスパイのリスト、通称『NOCリスト』が奪われてしまった。すかさず侵入者のキュラソーを追跡する降谷と赤井だが、ド派手なカーチェイスと大規模な交通爆発事故の末にキュラソーを取り逃がしてしまい――――
キーワード
NOCリスト、公安警察、FBI、CIA、黒の組織、オスプレイ、観覧車
制作秘話
脚本家の櫻井氏は前回の『業火の向日葵』で脚本が大幅にカットされた経験から、今作ではかなり薄い脚本を用意。アクションに尺を割きたい静野監督に合わせる形となった。
なお赤井秀一が変装を解いて好き勝手に動き回っているのは「ガンダムのアムロvsシャアの再現をしたい」という製作陣の考えによるもの。
本来であれば赤井は絶対に人前で変装を解かないが、「沖矢の姿だとガンダムの再現ができない」というメタ的な事情で変装を解いた。
降谷と松田

©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996.
今作ではファンサービス(とスコッチの正体の暗示)として松田陣平が降谷の回想で数秒だけ登場する。
松田は連載当初から不朽の人気を誇るモンスターキャラなので(笑)、古くからのファンを喜ばせる名シーンになった。
映画公開当時はスコッチの素性がまるで不明だったため、「親友の萩原の敵討ちがしたかった松田とスコッチの敵討ちがしたい降谷は対比になっており、すなわちスコッチの正体は降谷の親友だという暗示ではないか」という考察がなされていた。
(事実、スコッチの正体は降谷の親友であり幼馴染だった。しかし青山先生は「ファンサービス」としか公言していないので、このあたりは考察の域を出ない。)
世間の評価
賛否両論の激しい作品。
総合的に見ると高評価の多い人気作品だが、「これまでコナンに興味のなかった腐女子」を虜にした魅惑の作品でもあるため、赤井や安室ファンが付ける評価と初期からのコナンファンが付ける評価で評価内容が天と地に分かれる異質な作品でもある。
また、「コナンはラブコメ推理漫画」という作者の方針から少し遠ざかり映画の大半をアクションに割いたことで「ラブコメ・推理よりアクションが観たい」「とにかく安室、赤井、コナンの活躍が観たい!」という考えのファン層を得ることにも成功した。
とはいえ、「原作レイプ」「キャラ崩壊」「芸術性がない」との悪評が多いのも事実である。
具体的には赤井が変装を解いていること、黒の組織が警察を含む大衆の前でド派手な銃撃戦を始めたこと、ベルモットが大女優クリス・ヴィンヤードの姿でファミレスに現れたこと、安室が無策に赤井に突っかかる無能キャラとして描かれていること、一般人の死傷者が多すぎること、世界中のNOCリストを警察庁が保管していたこと……など、諸々の批判が殺到。
今作のようにアメリカのCIA、イギリスのMI6、カナダのCSIS等、世界各国の特殊諜報員のスパイリストを日本警察が無断で独自に所持すること自体、いくらフィクションとはいえ「ご都合主義が過ぎる」という批判がチラホラあった。
そもそもの『名探偵コナン』が現実にはありえない設定がてんこ盛りの作品であるが、そうは言っても一般のミステリー好きやスパイ映画好きに「ん?」と違和感を与える脚本であったことは確か。
なお、静野監督は「一般人が死ぬのはダメだと言われたので、事故に遭った車から人が逃げ出すシーンを入れました」と語っている。
要するに監督いわく「カーチェイスや観覧車の回転、オスプレイの銃乱射による死者数はほぼ0人」であり、「モブキャラを殺しすぎ」という批判は当てはまらないという見解になっている。